2016年7月10日日曜日

天野彰さんの『六十歳から家を建てる』、けいじの考えをものの見事に射抜く

昨日、紹介していた天野彰さんの本『六十歳から家を建てる』(新潮社)にはまってしまい、あっという間に読み終えてしまいました。
けいじが最近考えていることをスカッと爽やかに述べてくれています。
そのあたりの文章を拾ってみたいと思います。
◆夫婦は一つでもなければ一心同体でもない。二人の人間である。考えていることも違えば、やりたいことも違う。それがきわめて現実的、具体的な形で表面化するのが定年後の日常生活なのである。
六十歳以降の人生を「余生」と考える人は多いが、それは間違いだ。実は六十歳まではかりそめの人生で、定年以降こそが本当の人生なのである。
夫たちにとっては、会社や家庭、女房や子供のためでなく、自分自身のために生きられる人生だ。妻たちにとっても、夫を支え、子供を育て、家を守るための人生ではなく、やっと自分一人のために自分の時間を過ごせる人生となる。
私が「夫婦は別」と言うのはそういう意味である。「家」についても、そういう視点から考えてみようではないかというのが、私の提案である。これまで生活していた家は、誰か(何か)のために建てられた家だった。自分のために建てられた家ではない。だから、六十歳で建て替える必要があるのだ。(序章p12)
◆こうしたすべての問題を考え合わせれば、六十歳からの生活において「家」がどれほど大きな意味をもつかおわかりいただけるはずだ。夢やロマンも大切だが、それだけで二十年、三十年を生き抜くことはできないのだ。六十歳から住む家は、最終的に「我が身を守る砦」であることも必要なのである。(序章p17)
◆「家族は一つ、夫婦は一心同体」などと考えたところで、けっして将来は見えない。見えるのは「今」だけなのである。
しかし、自分のことなら考えられる。定年後、自分はこんなことに挑戦してみたい。こんな家で暮らしたい。万が一、寝たきりになったときはどうするか。できればこんな形で介護を受けたい。死んだらこんな葬式をしてほしい……。そこまで本気で考えることが、結局は妻の将来を考えることにもなる。妻はどんな生活をしたいのか? 私の暮らし方との接点は……。そうして、だんだん「二人のワガママ老後住宅」が見えてくるのだ。
夫婦はけっして一つではない。どんなに仲のよい夫婦でも、最後はかならず一人になる。
「いつまでも夫がいると思うな、最後まで妻がいると思うな」
これが、熟年以降の夫婦に必要な心がけである。自分一人になっても自立して暮らせる家。究極的には、それが定年後の理想の住まいではないだろうか。(c1p42)
◆定年後の夫婦だからといって、無理に共通の趣味をもつ必要はないし、朝から晩まで一緒に過ごす必要もない。それぞれが自分の居場所と楽しい時間をもち、なおかつ夫婦として自然に共有できる時間をもつ。そのくらいクールに考えたほうが、夫婦の二人暮らしはうまくいく。(c1p47)
◆家は、「オレの居場所」「私の居場所」であると同時に、「夫婦の居場所」でもなければならない。それぞれが好き勝手に暮らしているようでも、互いの気配を感じ、案じ合い、相手を愛おしく感じられる瞬間がなければならない。そうでなければ夫婦がともに暮らす意味がない。(c1p53)
◆夫婦はけっして一心同体などではなく、二人の大人である。つねに別人格であり、日常の習慣も価値観も夢も違う。無理して一緒にいる必要はないし、同じ夢を見なければならない理由もない。しかし夫婦である以上、やはり深いところでつながっている。困ったときには支え合う関係でありたい。そうでなければ夫婦で暮らす意味がない。(c1p53)
◆子育てを終え、会社を勤め上げてからつくる家ならなおのこと。あくまで自分たち夫婦が快適に安全に暮らせる家づくりをめざすべきである。特に冷暖房に頼らず、風通しのよい間取り、さらに内壁や天井そのものを調湿できる珪藻土や板張りにして、身体にやさしい仕上げにする。そして、千年の歴史ある木造軸組みを、国産天然木材で組み立て、数百年持つ本当に"価値のある本物の家"を残そうではありませんか。(c5p186)
◆本来、木材には無理に塗装する必要はない。ニスもペンキも塗らなくていい。降った雨が流れ落ち、室内や壁の内部に湿気がこもらない設計になっていれば、木は簡単に腐るものではない。
時とともに枯れていくだけである。昔の家はみんなそうだった。だからこそ私たちは、古い神社や仏閣の建物を見て美しいと感じるのではないか。(c5p189)
◆住む人と一緒に朽ち果てる家ではなく、住む人とともに美しく老い、味わいを増していく家。
六十歳から建てる家は、そういう家であってほしい。(c5p189)
天野彰さんの『「おひとりさま」の家づくり』(新潮社)という本も借りていましたが、こちらの本も併せて読み終えてしまいました。
いい本に出会えましたわ。
有り難いことです。
ありがとうございます。

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