2015年8月27日木曜日

『一〇三歳になってわかったこと 』、篠田桃紅さんからパワーをもらう

続きまして、篠田桃紅さんの本『一〇三歳になってわかったこと 』からお送りします。
篠田桃紅さんの考え方やライフスタイルには、勇気づけられるものがあります。
◆百歳を過ぎた私が冠婚葬祭を欠かすことがあっても、誰も私をとがめることはしません。パーティなどの会合も、まわりは無理だろうと半ばあきらめているので、事前の出欠は強要されません。当日、出たければ行けばいいので、たいへんに気楽です。しかも行けば行ったで、先方はたいそう喜んでくれます。今の私は、自分の意に染まないことはしないようにしています。無理はしません。(p14)
◆漢字の「人」は、人は一人で生きられない、お互いに支え合って生きるものだから、二本の線が支え合って成り立っている、と言います。しかし、古来の甲骨文字を見ますと、「人」という字は、一人で立っています。一人で立っている「「人 象形文字」の画像検索結果」は、横向きになって、両手を前に出して、なにかを始めようとしているように見えます。あるいは、手を差し出して、人を助けようとしているのかもしれません。いずれにせよ、二本の線が支え合わないと成り立たない「人」とは違い、相手への過度な依存はしていません。私には、古代の「人」のほうが、本来の人の姿だと思います。古代の「人」のように、最期まで、一人で立っている人でありたいと願っています。(p18)
◆このように日本の文化には、余白を残し、臨機応変に、加えたり減らしたりすることのできる「いい加減」の精神があります。そしてこの精神は、長寿の心得にも相通じるのではないかと思います。たとえば、歳をとったら体を冷やすのはよくない、温かくしておいたほうがいいと言います。それでなくとも抵抗力は衰えているので、冷やすと、それが引き金となって体全体のバランスを崩しかねないからです。しかし、かといって汗をかくほど温かくすると、体内の機能は小さく縮みつつあるので、よけいな負担をかけてしまう。その人に合ったいい加減の温かさに保つことがいいのです。(p40)
◆このごろは、新聞を開いても、見出しばかりを読むようになりました。活字をエンジョイできる人間ではなくなりました。情けないことに、活字の大きな本しか読めなくなっています。こんなに長く生きる人は絶対数が少ないから、活字の大きな本は、出版社も出さないのでしょう。こうして、だんだんと文字を読むことが、億劫になっていくのだなと思いました。この世は、最大公約数で成り立っています。私みたいに、稀に長生きする人のために商売をしていたら成り立ちません。新聞社や出版社にしても、厚い読者層に照準を合わせます。だから私などは、だんだんと、社会で生きる資格を失っていることを感じます。(p56)
◆「私達は愛に生き、藝術に生き、学問に生き、労作に生きる限り、人生を決して空虚なものとも、倦怠なものとも感じません。人生の楽みは是等の文化生活のなかに無尽蔵であるのです」
これは、与謝野晶子が、高弟の中原綾子が最初の歌集を出したときに寄せた一文です。人生の楽しみは無尽蔵です。あそこへ行きたいと思ったら行く。それしかないです。生きているうちに、やりたいことはなるべくしておく。私のような歳になると、やれることとやれないことがでてきます。ですから、体が丈夫なうちは、自分がやっておきたいと思うことはどんどんやったほうがいいと思います。(p73)
◆いつでも、なりゆきまかせなので、私ほど無責任な人はいないでしょう。自分でなにかを考えて、プランを立てて、さあやろう、ではなく、その日の風が吹きやすいように、暮らしてきました。自分に規律というものは課さないし、外からも課せられないようにしてきました。縛られたくないから目標も立てません。なにか目標を決めると、それに向かってやみくもに一生懸命になってしまいます。そうすると、ほかが見えなくなります。私は、ほかにすごくいいものがあっても、目標のために、見逃してしまうことがいやなのです。人生は、道ばたで休みたいと思えば休めばいいし、わき見をしたければわき見すればいいと思っています。今日中にあそこまで行かなければならないと決めるやりかたより、自然のなりゆきに身をまかせるほうが、無理がありません。そのほうが私の性に合っています。(p81)
けいじは腰痛のため定年で退職してからは無理をしないようにしてきました。
無理できない体になっていたという方があたっています。
特異な腰痛を抱えているから、だんだん社会の中に入っていけなくなってきました。
一般社会の規則正しい生活から外れるように。
そんなけいじが、自然のなりゆきに身をまかせ、無理のない生き方をずっとやってこられた篠田桃紅さんの本に出会って、心底元気をもらいましたわ。
有り難いことです。
ありがとうございます。

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